大人になると悩まなくなるよー。
という風に大人が言うのをよく聞く。
間違ってはいないかもしれないけれど、正確ではないなと思う。
悩んだってしょうがないんだよね。
悩んでるような暇はないんだよね。
きっと、何にも悩まなくなるということはないと思う。
僕たちとは種類が違うのだ。
金がないなあとか思い通りいかねえなあとかいう、形のわかりやすい悩みなんてものは言ってしまえば結構どうでもいい悩みなんだ。
僕たち若者が悩んでいるのは、大人になろうとするがために悩むのであって、形もなく浮ついていて、何に悩んでいるかもわからなくなるくらいもやもやっとしていて、何となく不安で、それで何もやる気が起きなかったりヒステリックになったり死にたくなったりするんだ。
そういうモラトリアム特有のよくわからない悩みってのが、大人になるとなくなるんだよね。
なくなってなきゃ困るというか。
そんな何もやる気が起きないふわっとした状態を、僕は楽しんでいた。
散歩をしながら、ああ、やらなきゃいけないことがたくさんあるけど、なんて思いながら何となく不安で、そんな高校生チックな気持ちを楽しんでいた。
僕は大丈夫なのかな。