のなめブログ

noNameBlog

恐ろしく長い一日(6)

僕はくたびれて、腹が減っていた。麻美とディナーをしたのが8時前で、その後は何も食べていないのだ。しかもパスタだったのでちっとも腹にたまらなかった。どうしてこう女の子ってパスタばかり食べるのだろう。麻美と会う日は必ずパスタを食べている気がする。俺はスープパスタが好きなんだ、と言っているのは汁がある分腹にたまるからであって、本当は焼き肉とか麻婆丼とかカレーとかを食べたい。 僕は通りの牛丼屋を見つけて、自転車を停めた。「申し訳ございません、当店ではごにゃごにゃ…」と言われるのを恐れたが、空腹がそれに勝った。メニューが実に豊富で、何と焼き肉と麻婆丼とカレーを頼むことが可能だった。全部食えるかどうかは別として、今宵の僕にはこれらを全て注文することが必要なことであるように感じられた。 そして本当に全て注文して、お茶をすすって待った。客は僕1人だけであった。調理場に男性が1人と、注文をとったのはアジア系の外国人女性であった。肌の色は浅黒く、ほりが深く鼻が高い。髪は漆黒、直毛で、背は低く胸は大きかった。ユニフォームのエプロンの上からでもその豊満さはある程度はかり知れるものだった。 女性は掃除をし始めて、僕は胸を追った。かなり長い間胸を見つめていた。そして焼き肉ができたらしく、女性は掃除を中断して料理を運んできた。「お待たせしまったー」と言って焼き肉の皿を置き、お茶のおかわりを注いでくれた。さらにカレー、麻婆が運ばれてきて、配膳の仕事を終えた彼女は掃除に戻った。僕はもう胸は見ずに、カレーを見て、食べていた。 いくら大きくて柔らかくても、あの女性の胸は別に触りたくないなと思った。それが散々女性の胸を見つめた僕の結論であった。やっぱり麻美の胸の方がいい。ゆっくり確認するように、僕はそう思った。それはもともと、自分は麻美の体ばかりを考えているわけではないのだということを、別の角度から確かめようとして考えたことであった。だが結局は麻美の胸を触りたいと言っているだけになってしまっていた。 僕は麻美を本気で好きでいるつもりだが、それと麻美の体に触れたいと思う気持ちは何だか別腹のように感じられる。触るだけならまだしも、セックスをして射精したいと思うこととそれとは、全く別の欲望のように感じられて、自分が嫌になるのであった。 気付けば僕は完食していた。だが食うのには大分時間が経っていた。時計はもう3時20分をさしていた。勘定の時に改めて女性の顔を見ると、ちっともカワイクない顔をしていた。顔の部品が中央に集中していて顎がしゃくれていた。 人通りは全くないので、即興で「3時って何時?3時だよ」という歌詞の歌を歌いながら自転車で自宅の方へと向かった。