「君、あんなところで何やってたの?」
当然の質問であった。 僕はもう服を全て着ていた。小さな駐在所に、僕と30代くらいのお巡りさんと50代くらいのお巡りさんがいた。僕はやっと精神的に落ち着いてきた。だが頭はまだ混乱していて、自分がいかにしてこの場にいるのか、ちゃんと把握することができなかった。
「君、いくつなの?」
若い方が聞いてきた。若いがアリクイのような顔立ちで、全然モテないだろうなと思った。
「君、自分が何したかわかるか?」
今度はおじさんの方が聞いてきた。おじさんは体格も大きく貫禄があって、目だけは優しそうなものの全体が威圧的な雰囲気を出していた。ここでようやく、僕は今取り調べを受けているのだとわかった。次の質問には答えよう。
「君、言葉はわかるよね?日本人だろ?アーユージャパニーズ?」
アーユージャパニーズ?と聞かれると答えづらいな、と思った。だが我慢して答えた。
「わかります。日本人です。」
「ホラ喋ったよ。」
とおじさんはアリクイに確認して、続けた。
「君、何という名前なの?」
「東谷です。」
「下の名前は?」
「諒です。」
麻美と初めて喋った時のやりとりと同じだった。あの時は電話だったのだけど。
「そうか。で、あそこで何してたの?」
これには黙り込んだ。
「東谷さん、歳は?」
アリクイはさっきと同じ質問をした。
「17です。」
「17歳か。高校生?」
「はい。」
ごめんね麻美。こんな俺でごめんね。
「この辺に住んでるの?」
「いや、武蔵境のちょっと先です。」
「そうか。で、何であんなところであんなことしてたの?」
麻美。せっかく麻美が俺のことを好きになってくれたのに、俺は変なことばかり考えていて…。本当だめだよ。ごめん。
「最近の若い人の趣味っていうのはよくわからないけどな、」
とおじさんがゆっくり話し始めた。
「公園でああいうことするのはな、犯罪になっちゃうんだよ。」
違うんだ。外でするのが好きなんじゃない。露出するのが好きというのでもない。
「公然猥褻って知ってるだろう?スマップが捕まったやつだよ。あれと同じでさ」
「セックスしたかったんです。」
僕がそう言った時、二人の顔が変わった。キョトンとしたようであった。
「趣味ということじゃないんです…」