のなめブログ

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ぶるぶる(9)

日曜日、新しいクラスの女子で映画を観に行こうという企画があった。しかしそのことを知ったのは火曜日のことだった。おそらく私のことだから、誘われたとしても行かなかったと思うのだけど、でも声くらいかけてくれてもよかったのに、と思う。ちょっと腹立たしい。でもこのクラスで私のアドレスを知っている人は東谷くんくらいなので仕方がない。

私は女子のグループにはなかなか溶け込めずにいた。昼ご飯は明日香と二人で食べているし、学校の帰りは一人か東谷くんと一緒かどちらかだ。中学の時までは比較的クラスの誰とでも喋っていたし、クラスの中の一番大きな女子のグループに属していた。それが精神的に苦しくなったのか、だんだんと私は閉ざしていった。今度のクラスだって、最初は大きなグループを作ってご飯を食べているけれど、だんだん細かく分裂していって、私みたいに完全にクラスから離脱してしまうような者もあらわれるのだ。何だかそれがバカらしくて、私はあまりクラスメートと仲良くすることにがっつきたくはない。だから私はプロフもしなければブログもやらない。そういうコミュニケーションのための無理矢理な手段は嫌だ。

みんなが馴れ合いのために無理して映画を観ている間に私は一人川辺で、いかに部室に私一人だけしかいない状況を作り出すかを考えていた。そのことばかり考えていた。そこまで私をその気にさせたのはサキさんや明日香への憧れの気持ちだった。彼女らはみんなの知らない間に大人なことをしていて、そして普段はみんなと同じ顔をしている。私のような子供と同じような身なりで、同じような振る舞いで、実は大人なのだ。大人である彼女らと子供な私との決定的な違いは、大人の嗜みをしているかどうかであって、そのための道具がローターだ。だから私が大人への階段を昇るためにはローターが必要だ。

とは言っているがやっぱり一番は、あの快感がまた欲しいとい思いがそうさせるのだった。

私が東谷くんに「今日は部活行けないや」と嘘をついて東谷くんを帰らせれば、私は部室で一人になる機会を得る。一番シンプルな案ではあるが、東谷くんがそれだけで帰るという確実な保証はない。それを実行する場面を頭の中でシミュレーションすると少し億劫になった。でもこれしか手段はない。発送にかかる時間も考えて、金曜日が適当だろうと考えた。

私は発送の場所と日時を指定し、代引を選択し、あなたは18歳以上ですか?にはいで答えて購入ボタンをクリックした。決戦は金曜日だ。胸が高まった。