のなめブログ

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ぶるぶる(7)

その日の夜。家族はもう寝てしまっている。私は、もう物音がしても誰も起きてこないのを確認してパソコンに向かった。

明日香はローター経験者だった。手に入れたいんだけど、と私が言うとやはり彼女は驚いていた。まだ処女で、男の子と手を繋いだこともキスをしたこともなく「オナニー」という単語の意味さえ知らないような子が、ローターを欲しいなんて言うもんじゃないよと明日香は言っていた。明日香の場合は自分で買ったのではなく彼氏が持っていたのだそうだ。だから明日香がローターを使う場所は自宅ではなく彼氏の家でのみだ。確かにそれなら安全だが、私の場合は自宅に保管するしかなく、親に見つかったりしたら大事件である。家に置いておくのは危険だから常に持ち歩いていないといけないかもしれないなと思った。

私はどうやって手に入れるか明日香にアドバイスを求めた。東京にいればそんなもん至るところで手に入るんだろうけど、と言って明日香は少し考えて、インターネットショッピングはどうかと薦めてくれた。確かにそれなら店頭で買う時のような恥ずかしい思いはせずに済む。

というわけで私は今パソコンに向かっているのだった。しかしここにきて商品をどこに届けてもらうかという難問に直面した。自宅は家族がいるので、当然自宅以外の他の場所に届けてもらうしかなかった。それが私にはどうも思い浮かばなかったのである。そこで私は明日香に頼って、明日香の彼氏の家に届けてもらおうと思った。我ながら名案だ。

「もしもし明日香?夜遅くゴメンね。ちょっと頼みたいんだけど。」

「んーどうしたのー?」

「ネットでローター注文しようと思うんだけどさ、うちに届けてもらうわけにいかないから、ちょっと彼氏さんにお願いしてさ…」

「ダメだよ、うちの彼氏実家の人だもん」

「え、さっき大学生で一人暮らしって言ってたじゃん」

「それは昔の彼氏の話。今の彼氏とは清純な関係で、実家暮らしだし真面目に付き合ってんの」

明日香はこの世で一番「清純」という言葉が似合わないと思っていたのでおかしかった。それよりも頼みの綱を失ったことが痛かった。また明日香にアドバイスをもらおうかと思ったが自分でやることにした。

私はローターを受け取ることの出来る場所を必死に考えるのだった。