のなめブログ

noNameBlog

ぶるぶる(5)

朝起きると、サキさんがシャワーを浴びていた。兄はまだ寝ていた。外は雲っていたが過ごしやすい気温だった。兄とサキさんにとっては穏やかな土曜日の始まりだったが、私は早く帰ろうと支度をし始めた。サキさんがいなければ私は昼までごろごろしているつもりだったが、二人に気を遣って早く出ることにした。

雨上がりでまだ地面が湿っていたので、今日も井の頭公園は諦めた。かわりに原宿に行くことにした。普段はほとんど制服を着ているため、年頃とはいえどうしてもファッションには疎くなる。原宿というファッションの聖地ともいうべき街で大いに刺激を受けて、あわよくばかわいい服があったら買おうと思った。

結論からいえば刺激にはなったが服は買わなかった。マネキンが着ていると確かにかわいかったが、スタイルの良くない店員がそれを着ていたのを見るとあまりかわいいとは思わなかった。おそらく私の顔に私の体型ではもっと似合わないだろう。

お腹が減ってどこか喫茶店でも入ろうかと思ってふらふら歩いているうちに、小さい道に入ってしまいどこだかわからなくなった。店はたまにあるけれど主に住宅街で、人も少なかった。突然左手に小さくて怪しげな店が出現した。お店は正面がガラス張りで、中にはセクシーな下着を着たマネキンが並んでいた。その少し奥に、サキさんの装置と同じようなものがいくつも並んでいた。サキさんはこういう店で買うのかな、と思った。私はそのお店に入ってみたかったが、うぶな女の子の私にはそんなことは到底不可能で、外から店員に気づかれないように覗くことしか出来なかった。

サキさんの装置は「ローター」という名前で、1890円で売られていた。私にはそれが安いのか高いのかわからなかった。でも私はそれを買いたいと思った。ローターが私をひきつける力は強く、その後家に帰るまでずっとその魅力的なシェイプと一時の快感が頭から離れなかった。

夜、疲れた体で私は帰宅した。両親には、サキさんとローター以外のことを話した。その夜私は指でローター代わりをしてみたが、ローターのような快感は得られなかった。