のなめブログ

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ぶるぶる(3)

朝起きると10時を過ぎていた。兄はもういなかった。かわりにちゃぶ台にチャーハンが置いてあった。「電子レンジ、入!600w、50秒!出、食!」というメモが残されていた。チャーハンよりバナナが食べたかったが、昨日買わなかったのでそんなものはないし、せっかく兄が作ったのでチャーハンを食べた。

外は雨が降っていた。予報では夜までずっと降るらしかった。今日は吉祥寺の井の頭公園を歩いて丸井やパルコで遊んでこようと計画していたのだが、雨のせいで公園は中止になった。晴れていたらあの服を着て、吉祥寺の街を歩いて、色黒でちょっと腕毛の濃い25歳のスポーツマンにナンパされるつもりだったのに。色白で細身の23歳のインテリ系メガネ男子でもいい。とにかく東京に一人で来たのだからかっこいいお兄さんにナンパされたかった。

しばらくは今日一日何をして過ごすかの代替案が思いつかなかったので、兄の本棚から外国人が書いた何たらとかいう本を取り出して読み始めた。ニーチェに影響を受けた哲学者らしかったが、何のことやらさっぱりわからなくてすぐにやめた。結局また、兄への興味から部屋をがさごそとあさってみることにした。エッチなビデオの一つや二つ見てやろうと思った。

兄が昔つけていたと見られる日記も興味深かったが、ほとんど使った痕跡の見られない香水なども見つかって「何をやってるんだ」と思った。しかしお目当てのエッチビデオは見つからない。

するとベッドの下、兄の洋服が入っている棚の奥から見慣れない物体が現れた。鮮やかなピンク色で、機械の先にひもが付いていて、その先に楕円形の玉がついていた。機械についているボタンをいじっていると、ぶるぶると震えた。私にはそれがただならぬもののように感じられた。私が今まで16年間生きてきた中で見たこともない装置だった。具体的な用途はわからなかったが、イケナイことに使うもののように感じた。兄自身が使うものではない、ということも何となく想像がついた。私は不思議な気持ちになった。

兄の部屋にこれがあってよいものか、それを16歳の妹の私が発見して今こうして手に持っていてよいものか、そしてこのドキドキ感はどこから来るものなのか、私にはわからなかった。しかし見れば見るほどその変なシェイプも、スイッチを入れたときの震え方も、色具合も、そして「私はイケナイ物です」と言っているかのような圧倒的な存在感も、すべてが私の好奇心を刺激し、魅力を感じさせた。鼓動が高まり、体が火照ってきて、頭がくらくらしてくる。

私はもう耐え切れなくなって、スイッチを入れたままそれを私の体に当てた。パジャマの上からで、かすかにしかその振動を感じられない。私はパジャマを脱ぐ。窓を強く打ち付ける雨の音。低音で正確にリズムを刻む振動音。私の吐息。楕円形の玉がパンツの上から私の股間を触った時、私は驚いて声をあげた。もう一度ゆっくりやってみる。不思議な感じだ。今まで感じたことのない、どこか別の世界に連れて行かれたような気分だ。ゆっくりと動かしてそれがあるポイントに触れたとき、また驚いて声をあげた。快感だった。とても心地よかった。

でも、すぐに私はイケナイことをしているのだと思い出した。ここは兄の部屋で、これは兄の所有物で、私はまだ穢れを知らない女子高生だ。「はぁんっ・・・!」じゃない。

私はもう一度まじまじとその装置を見つめた。やはり神秘的なデザインで、私をとりこにした。持って帰ってしまいたいと思った。そして私だけの所有物にしてやりたいと思った。兄に黙って持って帰ったらバレるだろうか。

だいたい兄はこの装置を使用しているのか。これが男性用のものではないことくらいは私にもわかった。だんだん兄の部屋にこの装置があることが不思議で恥ずかしく感じられてきて、兄が少し嫌になった。一体兄に何が起こったのだろう。兄はどうしたのだろう。