というわけで、見事仮免に合格した。
僕は努力の人間ではなく、したがって大人の人や世間あるいは社会というものに認められるための術も知らず、それにがっつくことをよしとしないので、まだ仮免ではあるが、一応正常な社会に少し認められた、ということになり少し安心している。
僕もこの世の中で生きても良いのかと。
という感覚はなかなか分かりにくいものなのかもしれないが、とにかく僕は無駄に肩身の狭い思いをしながら生きているような人種の類なのである。
こういう孤独気取りあるいは変人気取り野郎は、一般的に「ダルい奴」と言われるが、僕はなるべくダルいと言われないように日々気を付けている。
免許が人生において価値観を大きく変えるような存在になるとは到底思えないが、少なくともここ十日間ほどで自転車の乗り方は変わったと思う。
まあ僕は人生に何かプラスの影響を与えようというつもりで教習所に通っているわけではなく、ただ単にドライブがしたいのだ。
カーオーディオでお気に入りのドライブチューンをかけながら、海岸を走ったり、アメリカのハイウェイみたいな道を快走するのだ。
ドライブチューンと言ったら何がいいだろう。
順当にここはディープ・パープルだとかAC/DCとかいったハードロックをかけるべきだ。
「サーキットの娘」と「イージュー★ライダー」はテッパンね。
ストーンズのスティッキー・フィンガーズでのんびりもいい。
海岸沿いではベタにビーチ・ボーイズとかベンチャーズ、サザンも悪くない。
同乗者には申し訳ないが、僕の趣味を押しつけさせてほしい。
夢は広がる。