我が中央大学には、トム・ボーイというファーストフード・ショップがある。
ハンバーガーとフライドポテトとドリンクのセットを280円~330円という低価格で販売する、八王子市屈指の名店である。
そのハンバーガーのメニューでも人気なのが、「チキンタツタバーガー」だ。
1日数量限定販売なので、お昼のピークを過ぎた頃にはもうなくなっている。
だから例えば二限の企業法総論に出ようと思ったが寝坊してしまい結局学校に着いたのは二時ごろ、というようなミスを犯した人は、チキンタツタにありつけないのだ。
というわけで企業法の試験にでるポイントを全て聞き逃した僕は、チキンタツタも食べ逃してしまい、結局330円の「ペッパーチキンバーガー」を食べた。
トム・ボーイで一番高い330円のメニューを頼んだのは初めてだった。
280円だと安い気がするけど、330円はちょっと高い。
一体330円のバーガーはどんな味がするんだろうと期待して紙袋を開けてみると、まずそこには目に見える違いがあった。
この時点で、バーガーはまだ包装紙に包まれたままだ。
その違いとは、写真を見ればわかる通り、バーガーの包装紙に貼ってある、シールだ。
300円以下のメニューに貼ってあるシールは、こんなにポップではない。
さらに店員さん直筆の「ペッパー」という文字が書かれている。
まさか、他のメニューよりも高い原因はこれか??
しかしこれだけで他のメニューより30円以上も高いというのは、納得が出来ないだろう。
そこで僕はいよいよ包装紙を開け中を食べはじめた。
味の感想はまた今度にするとして、僕は途中であることに気がついた。
実は、包装紙が二枚重ねて使われていたのだ。
つまりこのペッパーチキンバーガーは僕の手に渡る前、二重の包装紙の温もりに包まれて育ってきたのだ。
300円以下のバーガーは、もちろん包装紙は一枚だ。
そして僕は確信した。
高い理由はここにあったのだ、と。