眠れない。
不覚にも僕は外に飛び出してしまった。
悩み苦しんでいた頃にやったあれだ。
一人で夜中に外に出て、考えたままに独り言をぶつぶつ呟きながら、歩いたり自転車を漕いだりするんだ。
まさかまだこれをやるとは思わなかった。
考えることはだいたい過去のこと。
自分の気持ちをゆっくり整理しながら、過去をなぞっていくんだ。
最初は悩み事、考え事の歴史。
頭を使いながら苦悩する日々。
それがだんだん心で感じ、胸を突き刺すような痛みを味わう日々になっていく。
そしてそれから解放された現在の自分がいる。
悩み事抱えるなんて、今考えたらかわいい思い出だ。
過去を振り返ることを嫌ってきたが、ついついそういう気分になって過去を振り返ってしまった。
不覚だ。
"深い傷を負っている"なんて言いながら過去を引きずっているなんて、情けないんだ。
そうやって思慮深い人ぶっているのはみっともないと思うんだ。
悲しんだ人がやさしくなれるとは限らないし、過去を引きずることと思慮深いことは違う。
何を人間的魅力と思うか、どんな人間性に価値を重く感じるかは人それぞれだけど、少なくとも僕がほしいのはそんなもんじゃない。
だから今日つい感傷的になって過去を振り返ってしまったことは僕にとって過ちである。