のなめブログ

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前回の続き

廃刊になってしまった「広告批評」の、最初に橋本治氏のエッセイが連載されていた。

その最終回で彼は、「僕は就職をしたことがない。だから組織に所属したことがない。所属するっていいなと思うけど、僕は所属できなかった」と書いていた。

それは僕にはとてもかっこよく見えた。

彼は所属なんかなくてもあんなに知的でユーモラスな文章を書くことができる。

独自の視点で世の中をうまくとらえている。

それでも俗なグループ社会に憧れを持つなんて、たとえそれが皮肉的な意味を持っていようとも、かっこいいではないか。

本当は僕だって世の中にもっと入り込んでいきたいと思っている。

多数派の構成員になりたいと思っている。

世の中とずれているんだという意識を捨てたいと思っている。

その方が便利だろうから。

眉を整えたり髪にストパーしたり流行りのファッションをしたりグリーーーンを聴いたり、勇気を出すだけでそれができたら本当に楽だと思う。

ナンパしたり嘘をついたり平気で人に迷惑をかけたり「空気」を読んだり自分を疑ったり結果や利益だけにとらわれたり他人を蹴落とすような発想をしたり効率ばかり考えたり頭が良かったりしたら、もっと幸せになりやすいだろうと思う。

僕がありのままでいようとすればするほど、僕以外の全てが僕から遠ざかっていく。