将来うちの親みたいな親にはなりたくないと思う。
ほとんどの子供は同じように思うんじゃないか。
自分の子供に対しては、親が自分にした教育よりもっといい教育をしたい。
自分が親だったら、ああはしない。
自分が親だったら、ああ言うだろう。
親というものは良くも悪くも、自分の将来の親としての見本になるものだ。
手本じゃない、見本だ。
自分の親を見て、自分の理想の親像を造り上げていく。
そして実際自分が親になった時にそれを実践しようと思うと、今度は自分の子供に「あんな親にはなりたくない」と思われるような教育をしてしまっているのだ。
そんなことの繰り返しだ。
子供に最高の教育を与えてやろうと思うと、どうしても子供が自分のコピーのように見えてしまうし、価値観の押し付けに終わる。
子供はというとだいたい「親とは時代が違うから」なんて言いだすんだ。
僕ら子供は、価値観という点においての親との溝を、すぐ環境の違いや時代の違いのせいにしがちだが、親と子供は違う人間なのだということを忘れないでほしい。
同じ遺伝子を持っていたとしても、同じ血が流れているとしても、親と子供は別人なのであって価値観はまったく違ったものであるはずなんだ。
だから僕は、もし自分が親と同じ時代に生まれ同じ環境で育ったとしても、彼らと友達になることはできなかったと思う。
価値観がもう、違うのだ。
彼らは僕の価値観を笑い飛ばすし、僕は彼らのそういう価値観を見て人間的に欠陥があるんだなと思ってしまう。
僕と僕の両親の関係が血縁関係でなかったら、僕は彼らを嫌うだろうと思う。