サークルの新歓ライブでブルーハーツのドラムをやることになった。
僕はベーシストである。
今日はその初スタジオがあって、立川ペンタに行って今はその帰り道だ。
「情熱の薔薇」の間奏が叩けない!
という問題は何とかもみ消された。
僕はベーシストである。
ペンタの店員さんに妙な絡みをしてもらって、それからよくわからないけどペンタのボールペンをもらった。
僕は人付き合いが非常に苦手なミュージシャンである。
帰りに、気付くと傘立てに立てておいた僕のビニール傘がなくなっていて、代わりに同じようなビニール傘が何本も刺さっていた。
パクられたのか間違って持って行かれたのかはわからない。
もし間違って持って行かれたのなら、代わりに別の傘を持って行ってしまってもそれほど問題にはならない。
しかしパクられたのだとしたら…
後に必ず濡れて帰る羽目になる人がいるはずだ。
それに自分のものでないとわかっているものを持ち去るなんて犯罪めいたことをするのは気が引ける。
ここは僕が犠牲になって濡れて帰るべきなんではないか。
少し迷って、結局僕は他人の傘を持って帰ることにした。
そこまで好い人する必要はないと思ったからだ。
適度に悪い人してないと申し訳ない気がする。
というわけで僕(悪人)は今、他人の傘を差しながら帰っている。
僕は人の好い若者である。
先日のゼミ飲みで、自分が極度の飲み会下手であるということに確信を持った僕だが、今日はこれから(前の)バイトの人たちと送別会(僕の送別会、ではない)という名の飲み会があるのだ。
行きたくないのではない。
これは僕にとって脅威なのだ。
楽しみであると同時に恐ろしいイベントなのだ。
運命やいかにって感じで。