大学に入って「友達」が出来なくてショボくれていた時、一人のアホが現れた。
彼とはサークルの新歓コンパで出会った。
俺と同類の人間が、小平から同じ学校に通っていたのだ。
その名も稲猿。
これ本名かどうかわからないけど。
価値観も性格も似ていた。
彼が俺の友達になってから俺は生きる元気を失った。
今まで俺の周りにユニークな人間がいなかったから、それが俺の個性であり、専売特許だった。
俺の数少ない長所のうちもっとも強いのがユニークさであった。
これは自分を客観視した感想である。
そのユニークさを、彼はばっちり装備している。
しかも我が物顔でそれを振り回している。
いや彼にとっては我が物だから仕方ないんだ。
でも、それはショックなのだ。
そのユニークさは俺じゃなくても持ってる人がいる(しかも彼の方がレベルは上だ)。
俺の代わりがいる。
俺はいなくても変わらない。
何のために生きてるんだろうかと考えさせられる。
俺の個性って、そういう独特の価値観と面白さを持ってるっていうことなんでしょ、要するに??
でそれと同じかもしくはそれ以上のモノを持った人間に出くわしたらどう思う??
絶望の淵だ。
俺じゃなくてもいいんだって思わざるを得ない。
存在否定。
やはり俺の見てきた世界は狭かったのだ。
これからどうしようか。
彼と同じ生き方をするわけにもいかないし、今さら普通の生き方なんて出来やしない。
俺の個性だと思っていたものを封じ込め、ピーマンのごとく中身のない空っぽな人間になろうか。
早く人生終わんないかなー。
普通の人に生まれてみたい。