秋がいよいよ深まってきた。
人々は夏物をすっかりしまい込み、ニット帽をかぶりはじめている。
セーターを着る者もいれば、マフラーを巻く者までいる。
誰もがビーチ・ボーイズのサーフィンUSAを聴き終えて、キンクスのサニー・アフタヌーンを聴きたくなる季節がやってきたのだ。
街はだんだんと暖かみのある茶色が多くなってくる。
木々は葉の色を変え、徐々にその葉を落としていく。
その落ち葉を掻き集める箒の音が心地よい。
若者は学問の秋、芸術の秋、食欲の秋、性欲の秋と何かと忙しいので、落ち葉を掻き集める役割はだいたいおじさんおばさん、おじいさんおばあさんということになる。
そんな重労働を押しつけられた老人たちは、忌まわしき若者たちにあの味わい深い「カサカサ」という落ち葉を掻き集める音をきかせまいという強い反抗心からか、とんでもないスーパーミラクルウルトラアイテムを使い始めたのだ。
その名前は知らないが、掃除機の逆バージョンみたいな感じで、細長い管から空気がブォーーッって出て、その力で落ち葉を目的地まで移動するという画期的なマシーンなのだ。
そのスーパーミラクルハイパーウルトラハイレベルマシーンスペシャルエクストラを使っている光景をたまに見るんだが、どうもあれは落ち葉をそこらに撒き散らしているようにしか見えない。
掃除機で吸った方が早いんじゃないかと僕は思う。
きっとそれをするわけにはいかない、特別な理由が何かあるんだろう。
老人にしかわからない、特別な理由があるんだろうと思う。
その理由を次回までに考えてきてください。